日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-45
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ポスター発表
香辛料を添加したドーナツの特性と抗酸化活性
*菅野 友美鈴村 奈々山田 梨乃加藤 友紀三宅 義明
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抄録

【目的】香辛料は特有の風味を有し,食品に嗜好性や保存機能を高める一方,生理的・薬理的機能から,調理や製菓に利用されてきた。本研究では,粉末香辛料を添加したドーナツを調製し,香辛料の添加量や種類による抗酸化活性の影響を比較検討した。

【方法】ドーナツの配合は薄力粉60 g,バター9 g,砂糖15 g,ベーキングパウダー2.4 g,卵12 g,水2 gとした。添加する粉末香辛料はローズマリー,シナモン,オールスパイス,ナツメグ,ジンジャーの5種類の粉末を用い,添加量は小麦粉に対し0.25%~3.00%とした。分析は揚げ後の比容積,重量変化率,揚げ後におけるろ紙への油の染み出し量,膨化度を測定した。ドーナツの凍結乾燥および粉末香辛料を,ヘキサン:ジクロロメタン=1:1(w/w)溶液による抽出に引き続き,メタノール:水:酢酸(90:9.5:0.5)による抽出を行った。抗酸化活性評価は,標準物質としてTroloxを用い,AAPH由来のペルオキシラジカルによるFITCの蛍光値の経時変化を測定し,親水性ORAC法による抗酸化活性評価を行った。

【結果・考察】ドーナツの比容積,重量変化率はすべての香辛料添加ドーナツで無添加のプレーンよりも減少した。染み出し量はナツメグ添加ドーナツ以外のドーナツでプレーンよりも低い値を示した。香辛料添加ドーナツは,香辛料の添加量が多いと抗酸化活性が高値を示した。また5種類の香辛料および香辛料添加ドーナツのうち,ローズマリーの抗酸化活性が最も高かった。シナモンの抗酸化活性は,香辛料では2番目に高いが,ドーナツ添加においては最も低い値となった。このことからシナモンは熱に不安定であることが示唆され,香辛料の抗酸化活性を最大限に利用するには適した調理をする必要がある。

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