日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-94
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ポスター発表
糖添加こんにゃく粉水懸濁液の粘弾性
*平島 円河原崎 泉水高橋 亮磯部 由香西成 勝好
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キーワード: こんにゃく粉, 糖類, 粘弾性
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抄録

【目的】こんにゃく粉は水を吸収し膨潤すると粘性を帯びるため,さまざまな食品に増粘剤として利用されている。また,これらの食品には糖類が添加されているものが多いが,糖類がこんにゃく粉の膨潤に与える影響は明らかにされていない。そこで本研究では,糖添加こんにゃく粉水懸濁液の粘弾性について検討した。

【方法】こんにゃく粉には優良こんにゃく粉((株)丸山商店)を用い,その濃度は0.5wt%とした。糖にはショ糖(三井製糖(株))とブドウ糖(特級,和光純薬工業(株))を用い,添加糖濃度は0~60wt%とした。試料の粘弾性は,定常ずり粘度の時間依存性とずり速度依存性,貯蔵弾性率と損失弾性率の周波数依存性測定により検討した。

【結果・考察】糖濃度30wt%以下のこんにゃく粉水懸濁液の粘度は,こんにゃく粉の膨潤に伴い試料調製開始からある時間まで増加し,その後一定値をとり,ある時間を超えると減少した。試料の粘度が一定になるまでの時間は,糖濃度が高くなるほど長くなることがわかった。一方,30wt%より糖濃度が高いと,粘度はほとんど増加せず,時間による大きな変化はなかった。糖はこんにゃく粉が膨潤するための水を奪うことで,こんにゃく粉の増粘効果を阻害した。糖添加こんにゃく粉水懸濁液の粘度は,ショ糖濃度20wt%,ブドウ糖濃度25wt%までは,糖濃度が高くなるほど高くなり,それ以上の糖濃度では低下した。また,糖無添加の試料は分子鎖の絡み合いがない液体的な挙動だったが,糖を添加すると,糖濃度30wt%程度までは,分子鎖の絡み合いが支配的な溶液型の粘弾性挙動であった。したがって,糖を添加する場合は調製時間を長くすることにより,こんにゃく粉の増粘効果を高められることがわかった。

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