日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-k1
会議情報

特別企画 次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理 ポスター発表
北海道の家庭料理 地域の特徴
ー主菜・副菜・おやつ・行事食に用いられる食材および地域性ー
*宮崎 早花菊地 和美山口 敦子伊木 亜子木下 教子佐藤 恵田中 ゆかり藤本 真奈美坂本 恵菅原 久美子土屋 律子村上 知子
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抄録

【目的】日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」の調査方法に従い実施した,昭和30~40年頃までに北海道に定着した家庭・郷土料理に関する聞き書き調査を基に「地域の特徴」について検討した。

【方法】調査は,北海道を道央・道南・道北・道東の4地域に区分し,平成25年4月~26年12月に実施した。今回は,北海道の家庭料理について,主菜・副菜・おやつ(間食)・行事食に用いられる食材ならびにその地域性を取り上げた。 

【結果・考察】主菜は,全域的に魚介類,特に鮭の利用が最も多く,石狩鍋,飯ずしなどが挙げられた。 肉類は,鯨・羊・豚の利用が多かった。鯨肉は,鯨汁,竜田揚げなどに利用されていた。羊肉の代表料理としてジンギスカンが挙げられた。副菜はいも,豆,野菜,山菜,海藻を利用していた。じゃがいもは収穫量が多く、年中用いられた。保存がきく副菜は、主産地の道東十勝で大豆と昆布の煮物や大豆の南蛮漬け,金時の煮豆,南瓜の煮物などが作られた。代表的な山菜として,ふき,行者にんにくは春を感じる食べ物として食された。また,海藻は北海道特産の昆布が煮物として親しまれた。おやつは,いも・かぼちゃ・豆類・穀類を利用していた。道南では米粉を利用した餅,道北では,干した鱈・鮭などの海産物などもおやつとして捉えられていた。酪農が盛んな道東では,自家製の「牛乳豆腐」がみられた。行事食は,正月料理を大晦日に年取り膳として食べる家庭が多かった。雑煮は,一般的には醬油味に角餅が多いが,味噌仕立てや餡入り丸餅などもみられ北海道入植者が故郷の味を受け継いでいる様子が窺えた。北海道の家庭料理は,旬の食材や各地域の特産物を活用しており,地域性があることが認められた。

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