主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2022年度大会(一社)日本調理科学会
開催地: 兵庫県立大学
開催日: 2022/09/02 - 2022/09/03
【目的】青森県の地形や気候の違いにみる特産物を用いた、その地域固有の伝承料理について特徴を明らかにする。
【方法】県内を3地域に区分し、聞き取り調査を計25か所で実施した。調査対象者は、その地域に長く居住し、家庭料理を良く知り、調理に携わっている41名とした。その調査結果から地形や気候の違いによる特産物を用いた、その地域固有の伝承料理についてまとめた。
【結果・考察】調査結果から絞り込まれた料理91品中、おかずの次に汁物が21品(23%)と多かった。冬が長く厳しいため温かい汁物が多く、各地域で獲れる魚介類を用いた汁物、秋に収穫し保存可能な根菜類やしぐさ(干し菜)、加工保存しておいた山菜、きのこ類などを利用して食料不足の冬にも工夫された具沢山の汁物があがった。青森県全体では「たらのじゃっぱ汁」、津軽地域では「ほっけのすり身汁」「けの汁」、下北地域では「くじら汁」「八杯豆腐汁」、南部地域では「いちご煮」「せんべい汁」などであった。また、多種多様なおやつが15品(16%)と多かった。その特徴を見ると、穀倉地帯である津軽地域では米粉使用の「しとぎもち」「がっぱらもち」、下北地域は芋・芋粉を用いた「いももち」、雑穀や豆、小麦文化の南部地域では「豆しとぎ」「そば串もち」「かますもち」など、各地域の特産物を利用したおやつがあがった。 また、3地域の沿岸部では次のような特徴がみられた。日本海沿岸ではエゴノリを用いた「えごてん」、津軽半島沿岸ではおにぎりを若生コンブで包んだ「若生おにぎり」、下北地域沿岸ではタコの内臓を利用した「たこの道具汁」、太平洋沿岸ではアカバギンナンソウを用いた「あかはたもち」、あわびとうにを用いた「いちご煮」などの伝承料理があがった。