日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-k3
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特別企画 次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理 ポスター発表
岩手県の家庭料理 地域の特徴
*長坂 慶子髙橋 秀子村元 美代魚住 惠菅原 悦子渡邉 美紀子冨岡 佳奈絵佐藤 佳織阿部 真弓岩本 佳恵松本 絵美
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抄録

【目的】岩手県の伝統的な家庭料理を次世代に継承することを目的に,地域ごとに聞き書き調査を行った。調査結果から明らかになった地域の特徴について報告する。

【方法】調査は,岩手県を7地域(県北・県央・北上高地南部・県南・沿岸・奥羽山系)に分け,調査期間は平成24~26年,調査内容は,昭和30~40年の家庭料理についてである。調査対象者は岩手県「食の匠」認定者を中心として選んだ61~96歳の女子で,地域に56~93年間居住している。対象者数は18人である。

【結果】各地域の家庭料理で多く利用された食材と料理は,県北地域では,そば,小麦,大豆や豆腐,くるみ,山菜で,「そばかっけ」「まめぶ」「まめしとぎ」などの料理がある。県央地域では,雑穀,山菜,米や米粉で,「きりせんしょ」「干し葉汁」などの料理がある。中部地域・北上高地南部地域では,米,小麦,野菜で,「芋の子汁」「ずぼぬき」「ひなまんじゅう」などの料理がある。県南地域では,米(特にモチ米),小麦,野菜で,「もち料理」「小豆ばっと」などの料理がある。沿岸地域では雑穀,魚介類,海藻類で,「鮭料理」や「どんこ料理」「かまやき」「くるみ雑煮」などの料理がある。奥羽山系地域では,山菜,きのこ,野菜,川魚,大豆や納豆で,「山菜の煮しめ」「納豆汁」などの料理がある。県央地域は経済の中心として栄えた地域で,食生活においても周辺地域と交流がある。県央地域の家庭料理が,少しずつ異なる作られ方を示してそれぞれの地域の特徴といわれるものになり,県北地域や中部地域でも作られている。それぞれの地域で旬の食材をいかすとともに,雑穀類,山菜類,豆類,魚介類などは地域ごとに特徴のある貯蔵・加工をして利用している。

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