日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-k5
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特別企画 次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理 ポスター発表
秋田県の家庭料理 地域の特徴
*高山 裕子熊谷 昌則髙橋 徹駒場 千佳子大野 智子三森 一司山田 節子逸見 洋子長沼 誠子
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キーワード: 家庭料理, 地域, 伝承
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抄録

【目的】『次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理』の聞き書き調査を通して、秋田県における次世代に伝えるべき家庭料理について、料理の調理特性と特徴を明らかにすることを目的とし、今回、地域の特徴について検討する。

【方法】県内8調査地域(鹿角・北秋田・山本・秋田・由利・仙北・平鹿・雄勝)において、昭和35~45年頃に調理を担当していた対象者19名(女性,74.2±7.8歳)に聞き書き調査を実施した。調査から得られた110品目の料理を抽出し、主な食材、日常食とハレ食、季節、地域の地理的特色などに分類して地域の特徴を考察した。

【結果・考察】 県内の全地域で挙げられた料理は、てんこ小豆の赤飯、味噌漬け、かやき、茶わん蒸し、おやき、干し餅・あられ、呉汁、山菜料理、つくだ煮であった。主食は米料理のみで麺料理はみられなかった。赤飯は、黒ささげ(てんこ小豆)を使用する濃い赤褐色であることが全地域で共通し、県中央部から南部で、砂糖の添加量が多いという甘味の地域性があった。呉汁(豆汁)は、大豆を水に浸し、すりつぶした「呉」をみそ汁に入れたもので、全国各地でみられる料理であるが、具材に、ゴボウ、ダイコン、ネギなどの季節の野菜やきのこ、沿岸地域では、メカブをのせるなど地域により多様な日常食として挙げられた。全地域で挙げられた味噌漬け、いぶりがっこなどの漬物、味噌などの発酵食品の利用が多く、秋までに収穫された野菜、山菜、きのこなどを、冬の間美味しく食べられるように工夫を凝らした保存食が作られていた。漁業が盛んな沿岸地域では、新鮮な魚、えご、内陸部でも多様な寒天料理などが日常食、ハレ食として挙げられた。地域の地理的な特色や気候、産業、生活形態による食文化が根付いていたことが示唆された。

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