日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-k6
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特別企画 次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理 ポスター発表
山形県の家庭料理 地域の特徴
ー四季を楽しむ暮らしー
*齋藤 寛子佐藤 恵美子宮地 洋子平尾 和子
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抄録

【目的】平成24~25年度に行った日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」の聞き書き調査および山形県の郷土料理に関する出版物の調査結果から、山形県の特徴を示す家庭料理と食文化の背景について分析することを目的とした。

【方法】山形県内は日本海に面する地域庄内地方と山側の内陸部で大きく分かれる。内陸部は気候や地形、歴史的な背景などからさらに3つの地方(最上地方、村山地方、置賜地方)に分けられる。本研究では、県及び地域ごとに特徴のある料理について検討した。

【結果・考察】山形県は出羽三山、飯豊連峰、蔵王連峰など標高の高い山に囲まれ、冬は日本海側から吹く季節風により、県全域に降雪があり豪雪地帯となっている。厳冬の海岸で採れる岩のりは格物のもので庄内地方のお雑煮にはかかせない味である。雪解けを待つ春は特に気持ちの昂る季節であり、楽しみにしている料理・食材がある。かど焼は最上地方の春の訪れを祝う味であり、祭りにもなっている。また、芽吹く山菜は柔らかく、それぞれの味・香りを持つ数多くの種類が店先にも並ぶが、個人で山に入り採取するという話もよく聞く。置賜地方の小国町は山に囲まれ雪も雨も多く土が肥えているといわれ、立派な太さのわらびが豊富にとれる地域であり、大量の山菜は塩漬けや乾物にして保存もする。食品流通事情が悪かった時代の雪国の知恵であるが、現在も春は生の味、他の時期には保存した旨みを活かした料理として現在も食べ継がれている。庄内地方の家庭では山菜と庄内麩と合わせた料理なども食べられている。また、本県は寒天料理も豊富にあり、庄内地方には祭りに欠かせない2種類の醤油寒天、村山地方には海藻のえごのりを煮て固める料理などがある。

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