日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-k13
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特別企画 次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理 ポスター発表
栃木県の家庭料理 地域の特徴
ー四季折々の野菜・いも・山菜の利用と小麦粉の利用ー
*藤田 睦名倉 秀子
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抄録

【目的】平成24,25年度特別研究「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」に基づき,昭和30~40年頃の家庭料理を含めた食生活の様子を聞き書き調査した。不足を補うために,同地区での再調査を実施し、次世代に伝え継ぐ家庭料理について地域の特徴を把握することとした。

【方法】栃木県内の那須野ヶ原,日光山間,両毛山地,渡良瀬流域,鬼怒川流域2か所の全6地域とした。対象者はその地域に30年以上居住している60歳以上の19名であり,地域での暮らしと食生活の特徴と概要,印象に残っている食と暮らし,伝え継ぎたい家庭の料理を聞き書き調査した。その中から地域の農産物の特性を生かした料理を抽出してまとめた。

【結果・考察】栃木県は,県北に日光、那須連山の山間部,県央,県南に関東平野の北端を占める地形で,境界部に海岸線を持たない内陸県である。昭和30年頃は農家の戸数も多いことから日常の食事は田畑で収穫された四季折々の野菜やいも類,山で採取した山菜を利用した料理が特徴である。主食では、平野部は米を中心に小麦の生産も盛んであることから,小麦粉(地粉)を利用したうどん,煮ごみ,すいとんが毎日のように食卓に並んだ。夏にはきゅうりの冷や汁,ちたけ汁,秋にはきのことなすの汁など,うどんだけでなく汁の種類も多彩であった。米,小麦の生産に不向きな山間部ではそばがこれに代わった。おかずでは主菜と副菜の区別がなく,野菜・いも類を中心とした煮物料理が多くみられた。旬の野菜類をぬか漬け,塩漬け,乾燥等で保存して年間を通して余すことなく利用した。いも類ではじゃがいもは日常の食が中心であったのに対し,里芋は行事食にも欠かせないものであり,神様にお供えする意味合いから大切に扱われていた。

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