日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-k12
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特別企画 次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理 ポスター発表
茨城県の家庭料理 地域の特徴
*石島 恵美子渡辺 敦子飯村 裕子荒田 玲子野口 元子
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抄録

【目的】日本調理科学会特別研究会「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」の茨城県の調査地域である5地域において昭和30~40年代に食されていた料理で特徴的なもの8品を報告する。

【方法】県内5地域(県北、県央、県西、県南、鹿行)において平成24年~26年度に聞き書き調査を実施した。その調査から分かった地域ごとの特色ある料理について検討した。

【結果・考察】 県北の大子では、冬の昼夜の寒暖差を利用して「凍みこんにゃく」が製造され、以前は他県への販売目的であったが、現在は大子でも煮しめにして供されている。また、山間部では古くからそばの栽培が盛んで、冬にはたっぷりの根菜類やいもがらを入れてけんちん汁を作り、その汁で「けんちんそば」として供する習慣がある。 県央の水戸市では、畑作農業が盛んで、野菜類をさいの目に切って煮たものにとろみを付けた「のっぺ」は、子安講の持ち寄り料理として供されていた。また、汽水湖である涸沼で獲れるしじみを用いた「しじみ汁」は、すまし仕立てにして供する家庭が多くみられた。 県西の結城市では、かんぴょうの生産が盛んで、様々な家庭料理に利用されており、特に「かんぴょうの味噌汁」は精進料理としても供されていた。 県南の石岡市では、千葉県銚子方面からの行商が売りに来る本海藻を使用し、「海藻寄せ」を作るのが現在も続く正月の習わしである。一方、つくば市では、秋から冬に地域でとれる野菜を豊富に使って「ぬっぺ汁」が作られ、汁ものとしてよりも、煮物として供されていた。 鹿行地域では、昔から海岸に打ち上げられるイルカの肉が貴重なたんぱく源で、甘辛く煮た「イルカのごぼう煮」が供されていた。現在は、岩手県産のイルカ肉を購入して食べ継がれている。

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