日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-k36
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特別企画 次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理 ポスター発表
愛媛県の家庭料理 地域の特徴
ー魚介類の多様な利用,大豆・いもの利用ー
*亀岡 恵子香川 実恵子宇髙 順子皆川 勝子武田 珠美
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抄録

【目的】愛媛県は四国の北西に位置し,北側には瀬戸内海に面した平野が広がり,南側は西日本最高峰の石鎚山系がそびえる。気候は温暖で,燧灘,伊予灘,宇和海と多様な水産資源の3海域に面し,農林水産物が豊富である。日本調理科学会特別研究「次世代に継ぐ 日本の家庭料理」の一環として行った調査から,昭和30~40年頃の愛媛県の家庭料理の特徴をまとめた。

【方法】平成25年11月~平成27年3月に愛媛県内の8地区(東予;四国中央・西条・今治市,中予;松山・東温市,久万高原町,南予;大洲・宇和島市)で聞き取り調査(60~90歳代3~7名,居住年数37年以上)を,平成29年3月~平成30年10月に東予;新居浜市を加えた9地区で聞き取り及び調理方法の調査を行った。

【結果・考察】昭和40年頃は,いわしやあじは漁獲量が多く,日常食に生,干し,練り製品にして使われていた。たいは漁獲量が少なく行事食に用いられていた。魚介類は,主菜への利用が多様であるほか,主食にも,変わり飯の具材として用いられていた。また,副菜のうま味増強としても煮干しが県全域,じゃこてんが南予で,いも・豆・野菜等の煮物・炒め煮・寄せ物・酢物等に用いられていた。東・中予では,大豆加工品で特産の干し揚げを炊き込み飯や副菜の具材に用いてコクを付けていた。中予山間部と南予では豆腐は行事に手作りし,田楽やおからの酢和えはごちそうであった。また,いもは,県全域でさといもと肉・根菜でいもたき,日常的なおやつはさつまいもを使った中予のいも練り,南予の干しいもがあった。行事食と日常食では,魚介類や穀類で食材が異なる傾向が顕著で,日常食には小魚・青魚,いも,行事食には白身魚,こめ・もち等が用いられていた。

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