日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-k37
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特別企画 次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理 ポスター発表
高知県の家庭料理 地域の特徴
ー地域の食材利用に着目してー
*福留 奈美野口 元子小西 文子五藤 裕子
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抄録

【目的】高知県は全国一の森林率を有し多くの河川が流れ、太平洋に面した700km以上におよぶ長い海岸線を持つ。また、豊富な日照量と降水量に恵まれ、高知平野から香長平野にかけての平地だけでなく、山の斜面を利用した段々の田畑で野菜・果物栽培、稲作等が盛んに行われてきた。山・里(平地)・海の豊かな食文化を有する高知県の家庭料理の特徴については、これまで主食・主菜・副菜・おやつ・行事食に分けて報告した。本研究では、高知県の郷土・家庭の味としてとりあげられる食材に着目し、山・里・海の各地域を代表する料理にどのように使われているかを明らかにする。

【方法】本調査では、地域の味を網羅的に収録していると考えられる料理書2冊(1980年代刊行の『土佐・味の百科』140品、『ふるさとの台所』242品)を分析対象とし、主・副材料として使われている食材を53旧市町村別に地域分類を行い、地域特性をとらえた。

【結果】1) 山間部では山菜・野菜が主の料理が多く、いも類、豆・豆製品の料理も多様だった。また、特有の香りをもつ木の葉(くぬぎ菜)やいのしし等、山ならではの食材利用があった。

2) 山・里山の地域では高知県で特によく食べられるりゅうきゅう(ハスイモ)やいたどり、西部および東部の沿岸部では海岸近くに自生する浜あざみの料理が特徴的だった。

3) 平地では鰻、ごり、鮎、川えび、つがに等の川の恵みの料理が多くみられ、沿岸部では鰹をはじめ、しいら、鯖、珍しいものではうつぼやにろぎ等が利用されていた。

4) 主食の特徴として取り上げたすしの多様性については、海の魚、川魚、山菜・野菜等のすしが20種近くあり、特徴的な食材を使った炊き込み飯の種類もすし同様に多かった。

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