日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-k41
会議情報

特別企画 次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理 ポスター発表
熊本県の家庭料理 地域の特徴
ー自然と水の恵みに育まれた豊かな食文化ー
*秋吉 澄子原田 香小林 康子柴田 文川上 育代中嶋 名菜北野 直子戸次 元子
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抄録

【目的】日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」において、地域に残されている特徴ある家庭料理を、地域の暮らしの背景とともに記録し、各地域の家庭料理研究の基礎資料、家庭・教育現場での資料、次世代へ伝え継ぐ資料などとして活用することを目的に、聞き書き調査を行った。

【方法】熊本県内を6地区(阿蘇、県北、熊本近郊、県南、天草、球磨)に分類し、昭和35~45年頃に各地域に定着していた家庭料理について、11名の協力者を対象に聞き書き調査を行った。その調査結果や参考文献を基に、熊本県の地域の特徴を検討した。

【結果・考察】阿蘇は豊かな自然と気候に恵まれた地で、火山活動によってできたカルデラには広大な水田地帯が広がり、放牧も盛んで高冷地特有の野菜や山菜を使った料理が食卓を彩っている。県北は菊池川流域に広がる玉名、鹿本、菊池地域を指し、菊池川の恩恵を受け農産物に恵まれ、豊かな食文化が形成されている。熊本近郊は、熊本市・宇城・上益城も含め温暖な気候と肥沃な土壌に恵まれ、季節ごとの野菜や果物が豊富で、食文化に細川藩の影響が色濃くうかがえるのも特徴である。県南は、西部に八代海、中央部に干拓によって開けた水田平野を形成する八代、芦北、水俣地域を指し、温暖な気候で育った米や柑橘類、海や山の恵みを生かした料理が伝承されている。天草は海と山に囲まれた温暖な地域で海の幸に恵まれている。耕地が少ないため作物選定を考慮し、山の急斜面や海風を利用した果物栽培等工夫を凝らして食生活を豊かにしている。球磨は、球磨川流域に広がる人吉・球磨地域を指し、周囲を山に囲まれた盆地ならではの寒暖差を生かした農業や、米焼酎づくりが盛んで、焼酎に合う料理も多い。

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