日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-k42
会議情報

特別企画 次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理 ポスター発表
大分県の家庭料理 地域の特徴
ー一村一品運動に通じるバラエティーに富んだ料理ー
望月 美左子*高松 伸枝宇都宮 由佳西澤 千惠子篠原 壽子立松 洋子
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抄録

【目的】大分県の次世代に伝え継ぐ家庭料理を暮しの背景と共に記録し、家庭料理研究の基礎研究とするだけでなく、家庭や教育現場でも利用可能な資料とすることを目的とした。

【方法】前報と同様の方法で大分県の家庭料理を調査し、その特徴について検討した。

【結果・考察】大分県の郷土料理は入手できる食材を使い、知恵と工夫が加わったものになっている。江戸時代には山によって分断された小藩が数多く存在し、狭い地域毎に料理が発達してきたため、県全体でみると多種多様な料理が存在する。本報告では「鯖と鰺」と「だんご汁とやせうま」に焦点を当てた。〈鯖と鰺〉大分県の東側は豊後水道に面し、西側は九州山地である。そのために東側では新鮮な鯖や鰺を使った刺身、りゅうきゅう、きらすまめし、鰺と紫蘇を使った姿寿司がある。内陸では塩鯖、一尾全部を用いた鯖寿司になる。〈だんご汁とやせうま〉だんご汁は地粉から作った「だんご」と季節の野菜を煮込んだ汁で、だんごを作ってきなこ(砂糖)を絡めたものがおやつの「やせうま」になる。両方とも地粉を捏ねてから丸め、手で延ばして「だんご」にするのが特徴である。だんごの形状はやせうまがひも状だけなのに対し、だんご汁はひも状のもの、ひも状にしてから縦に二分割したもの、手で握っただけのもの、円盤状のもの、スプーンですくって汁に落としたものなど様々なものがある。材料も地粉だけではなく、米粉なども使用される。このように大分県の料理は地理的条件だけでなく小藩分立など、歴史も大きく影響していると考えられる。バラエティーに富んだ料理はやがて大分県が全国に先駆けて行ってきた、外国にも影響を及ぼしている「一村一品運動」へと繋がっていった。

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