日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-k43
会議情報

特別企画 次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理 ポスター発表
宮崎県の家庭料理 地域の特徴
ーひなたの海幸・山幸の恵みを活かした料理ー
*篠原 久枝長野 宏子磯部 由香秋永 優子
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抄録

【目的】日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぐ ⽇本の家庭料理」に基づき,宮崎県の家庭料理の特徴を明らかにすることである。

【方法】平成24〜26年、県内8地区11ヶ所に在住の女性35人(昭和2年〜22年生)を対象に昭和30~40年代に作られていた家庭料理の聞き書き調査を行った。今回はこれまで未発表の料理を中心に報告する。

【結果・考察】正月料理に着目すると、西臼杵郡五ヶ瀬町では、刺身(鯨)、焼いた数の子、酢の物、いわしの頭付き煮付け、煮しめやイモの天ぷら、雑煮は丸餅で焼かず具沢山のすまし仕立てだった。児湯地区沿岸部の川南町では、酢にんじん、金柑の甘煮、黒豆の代わりのうずら豆の煮物、酢あじや酢いわし、雑煮はすまし仕立てで焼かない餅に、お節の煮しめの具と小さく切ったものを加えていた。東臼杵北部の延岡市では、煮しめと金時豆の煮物、紅白なます、金柑の砂糖漬け、雑煮はすまし、しょうゆ味と家庭によって異なり、煮しめに餅を焼かずに入れる家もあった。北諸県地区の都城市では必ず、かしわで炊いた煮しめとがねを同じ皿に盛付け、雑煮またはいもんこんすいが出された。いもんこんすいは、里いもを丸ごと一個入れたお吸い物で、数日前から水に浸した大豆のおやしを添えて仕上げる。

 また、他県に見られない特徴的な料理として、東臼杵地区南部の椎葉村では焼畑で栽培された雑穀を使った「稗ずーしー」「蕎麦のわくど汁」が、中部地区宮崎市では「くさぎ菜の油炒め」「佐土原なすの焼きなす」が、北諸県地区の都城市では固ねりの「甘酒」「酢のしゅい」が食されていた。以上より、宮崎県は温暖な気候に恵まれ、沿岸部,山間部共に豊かな海幸、山幸の恵みを活かした家庭料理が食されていた。

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