日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: B-10
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口頭発表
ジャガイモ料理におけるGABA富化条件のための酵素学的特徴に着目したレシピ開発
*松田 寛子佐藤 幸奈加藤 わかな林 恭平奈良井 朝子
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抄録

【目的】精神安定作用などの機能性を有するγ−アミノ酪酸(GABA)は、調理加工工程において、ジャガイモ塊茎(以降、ジャガイモ)内で含有量が変動すると報告されている。植物生体内でのGABA生成は、Ca2+とピリドキサールリン酸(PLP)存在下でグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)の触媒作用によりグルタミン酸(Glu)が脱炭酸されて得られる。ジャガイモの調理加工方法は多岐にわたり、肉じゃがやスープさらには菓子など様々な料理・加工品が知られている。しかし、ジャガイモ中のGAD活性を明確した上で、調理加工工程での食材間相互作用に着目したGABA 生成促進の最適条件に関する知見は乏しい。よって本研究では、GAD特性に着目した高GABAジャガイモ料理のレシピ開発を目的とした。

【方法】ジャガイモ(男爵)を用いてミキサー磨砕し、硫酸アンモニウムにより塩析することで粗酵素液を得た。得られた粗酵素中のGAD活性において、酸化防止剤の添加有無や、pH依存性・pH安定性および温度依存性・温度安定性、さらにはPLP, CaCl2, Glu-Naの必要濃度範囲を検討した。さらに、基本レシピをもとにGAD特性を反映した条件を組み込んだ上でスープを作製した。すべての検討は、反応停止後に蛍光誘導体化したGluとGABAをHPLCに供し定量分析した。

【結果】ジャガイモ粗酵素に含まれるGADの最適温度と最適pHは、それぞれ40~60℃とpH 5.0~5.5であった。また、ジャガイモ中のGABA生成においてはCa2+は必須ではないことが示唆された。スープについては今現在検討中である。

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