日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: B-11
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口頭発表
加熱調理がニンジンの物性および表面外観に及ぼす影響
*田村 翔平石田 一晃篠崎 純子
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キーワード: 炒め, 過熱水蒸気, 野菜
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抄録

【目的】冷凍惣菜は長期保管ができ、解凍してすぐに喫食できる便利な食品である。冷凍惣菜の中でも需要の高い炒め物には野菜が多く使用されるが、加熱調理と冷解凍によりその食感が軟らかくなることがある。これまでの検討で野菜の食感軟化を抑える調理法として過熱水蒸気加熱が有効であることを見出した。今回、フライパンで炒めたような炒め物と同等の品質(食感・外観)を過熱水蒸気加熱で実現するために、ニンジンを対象に検討を行い、物性および外観(表面)から影響を比較した。

【方法】直径30mmの丸型で型抜きした、厚さ10 mmのニンジンを、各種方法(フライパン調理、過熱水蒸気加熱調理、過熱水蒸気加熱調理後、短時間油調)で加熱し、冷蔵庫(4℃)で冷却した後、急速凍結機(-40℃)で冷凍した。レンジアップ解凍後、表面外観の目視確認およびクリープメータ(山電)での破断荷重測定を実施した。また解凍後、75%エタノール溶液でサンプル表面の油脂を除去し、レーザー顕微鏡(KEYENCE)での撮影・解析を実施した。

【結果・考察】目視確認の結果、フライパン調理では、ニンジン表面が粗い様子であるのに対し、過熱水蒸気加熱調理では、表面がなめらかな様子であった。一方、過熱水蒸気加熱調理後、短時間油調すると、表面が粗い様子になり、フライパン調理に近い外観になった。破断荷重測定の結果においても、過熱水蒸気加熱調理後、短時間油調すると、目標品質であるフライパン調理と同等の硬さであった。また、レーザー顕微鏡解析の結果、フライパン調理に比べ、過熱水蒸気加熱調理では表面のSa値(表面の平均面からの高さの絶対値の算術平均)は低くなった。一方、過熱水蒸気加熱調理後、短時間油調すると、フライパン調理と同等のSa値を示した。

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