日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: C-15
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口頭発表
レシピ共有サイトからの食感表現パターンと食感物性との対応関係の獲得
*上原 宏持橋 大地
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抄録

【目的】最近盛んに使われているレシピ共有サイトには膨大なレシピが書き込まれているが、個々のレシピには、どのような風味や食感になるかについての記述が十分でない。そこで本研究では、凝固剤を含むレシピを対象として、大量の投稿レシピからまず、食感表現の潜在的な特徴パターンを推定する。推定した食感表現パターンを、調理科学の実証研究で得られた食感のレオロジー物性と対応づけ、投稿レシピの食感特徴情報を、食感表現パターンと物性の組み合わせとして提供可能とする。

【方法】凝固剤を含む投稿レシピを大量に収集し、それらに含まれる食感表現語彙を確率的トピックモデルにより、トピックと呼ばれる潜在的な特徴パターンに分類する。トピックとは、レシピ集合に含まれる食感表現語彙で意味的に関連性のあるものを自動的に集めたものである。提案手法では、食感表現トピックに対応する材料構成、すなわち凝固剤とエマルションの種類と濃度の特徴パターン(材料トピック)を同時に推定する。推定した材料トピックを、調理科学での食感の物性測定における材料構成と対応付けることで、投稿レシピの食感表現トピックと、調理科学での食感物性とを対応づける。獲得した対応関係は、日本語テクスチャ用語体系により意味的妥当性を評価する。

【結果・考察】Cookpadより、ゼラチン、寒天、アガーを凝固剤とするレシピ約3000件を対象に10パターンの食感表現トピックと材料構成トピックを推定し、調理科学の食感物性、すなわち、硬さ、凝集性、粘着性との対応付けを行った。その結果、凝固剤それぞれの食感物性の特徴に応じた食感表現トピックが対応づけられ、またそれらのトピックは混合エマルションの食感物性への影響も反映することを確認した。

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