日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: C-21
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口頭発表
鶏卵卵黄を用いたアイスクリームに含まれるビタミンB12とその吸収のしやすさについて
*桂 博美大村 千夏酒井 志織岡田 佳子山村 愛実
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抄録

【目的】高齢者においては、しばしば萎縮性胃炎などによりたんぱく質の分解能力の低下からたんぱく質吸収不全に陥ることが知られている。その際、食物中の割合が高いたんぱく質結合型ビタミンB12(VB12)も併せて吸収不全に陥る。そこで、私たちは消化能力が低下した高齢者においても容易に胃内消化で遊離型VB12が得られるような食品の調理加工形態を探している。今回は、間食として用いられている菓子類のうち鶏卵卵黄を使用したアイスクリームに焦点をあて、高齢者におけるVB12供給源としてアイスクリームの評価を試みた。

【方法】市販 (4社)および手作りアイスクリーム適量を量り取ってVB12をシアノ化熱水抽出し、微生物学的定量法で定量した。また、胃内人工消化試験を行った後、消化試料をゲル濾過し、たんぱく質結合型VB12と遊離型VB12に分画して定量し、割合を決定した。

【結果・考察】市販のアイスクリームに含まれるVB12量は、0.3~0.4μg/100gの範囲であり、手作りアイスクリーム(安価卵使用)に含まれるVB12量の0.3μg/100gと同程度であり、手作りアイスクリーム(高価卵使用)の0.9μg/100gより低かった。この中で最も含有量が高かった、手作りアイスクリーム(高価卵使用)を用いて胃内人工消化試験を行い、消化後試料に含まれる遊離型VB12割合を決定したところ、30±7%であり、同様に実験を行った生卵黄の8%より高い値であった。これは、アイスクリームの加工工程である撹拌と冷凍によってたんぱく質が分解されやすくなったことに起因する可能性があり、よってアイスクリームは生の卵黄より効率よくVB12を吸収できる食品であると考えられた。

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