日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-23
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ポスター発表
無毒フグから抽出した肝油を用いた食パンの品質および特性
*折田 萌花大貫 和恵五百藏 良野口 玉雄
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キーワード: フグ肝油, 食パン, 官能評価
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抄録

【目的】現在,フグの肝臓(フグ肝)は無毒であっても費用をかけて廃棄されているが,無毒の餌を与えれば,無毒フグが生産可能となった.本研究では,未利用資源である無毒のフグ肝を用いて安全性,機能性,嗜好性が高い加工品を開発するため,機能性成分が豊富な無毒フグ肝より抽出した肝油を用いて食パンを作成し,その品質及び特性を明らかにした.

【方法】管理の行き届いた海面養殖(熊本県)で2年間養殖したトラフグの肝臓を用い,フグ毒検査法の参考法で無毒(5 MU/g未満)を確認後,肝油を抽出し,JASやCODEX魚油規格より一般状態,酸価,過酸化物価を測定した.次に,得られた肝油を用いて食パンを作成し,色,物性,官能評価(順位法,評点法)等により品質評価した.食パンは,油脂分にバターを用いた試料A,肝油を用いた試料B,試料Bにローズマリーを添加した試料C,試料Bにコーヒーを添加した試料Dの全4種を作成した.また,フグ肝は,先行研究より加熱をすると嗜好性に影響を与えるにおいが生じるため,マスキングや油脂の酸敗臭抑制効果がある味噌を全試料に加えた.

【結果・考察】得られた肝油の一般状態は,透明で異物混入がなく,酸価(約1 mgKOH/g),過酸化物価(約0.5 meq/㎏)が低値を示し,上記規格より品質に問題なかった.次に,肝油を用いた食パン(3種)は,バターを用いた食パンより内相部の気泡が小さく不均一で製パン性が低く,試料A・Bは黄色系で多少明るい傾向を,試料C・Dは添加物の色の傾向を示した.物性のかたさ,破断力,凝集性は,差がなかった.官能評価は,肝油を用いた食パンの中で試料Dが総合的に嗜好性が高かったが,試料Aより低かった.しかし,有意差はみられず,同等に好まれていたと考えられる.

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