日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-24
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ポスター発表
加熱調理における低・未利用アナゴ類の物性
*井野 睦美大富 あき子大富 潤
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抄録

【目的】消費者の認知度が低いため海上投棄される魚種や、サイズが揃わないなどの理由で市場価値が低い魚種が存在する。これらの有効活用法の検討が求められるが、本研究では低・未利用アナゴ類3種および比較対象として有用種のマアナゴを用い、基本的な加熱調理後の物性を比較した。

【方法】鹿児島県西岸沖で漁獲されたマアナゴ(有用種)とクロアナゴ(低利用種)、鹿児島湾における試験底曳網調査で採集した深海性のアイアナゴとニセツマグロアナゴ(ともに未利用種)の4種を用いた。三枚におろした後に3 cm四方に調製し、茹でおよび焼き操作に供した。茹で操作は小鍋に湯を沸かし、魚を投入、再沸騰後1分間加熱した。焼き操作はホットプレートで250℃、油は引かずに皮面から2分、裏返して2分の合計 4分間加熱した。調理操作後すぐに卓上物性測定器(TPU-2S;(株)山電)を使用し、直径3mmの円筒形プランジャーを用いた貫入試験に供し、かたさ荷重および破断荷重について比較した。

【結果】茹で操作では4種間に有意差は認められなかった。焼き操作ではクロアナゴのかたさ荷重の値がマアナゴ、アイアナゴよりも有意に高かった。またアイアナゴに比べてクロアナゴの破断荷重は有意に高かった。これらより低利用種のクロアナゴは焼くと身がかたくなり、プリっとした食感になる特徴があり、この食べ応えを活かした料理が望ましいと考えられた。深海性未利用種のアイアナゴとニセツマグロアナゴは有用種のマアナゴとかたさ荷重および破断荷重における有意差は認められず、有用種に近い柔らかな身であることがわかった。今後は加工の容易さ、適した調理などについても検討したい。

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