主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2022年度大会(一社)日本調理科学会
開催地: 兵庫県立大学
開催日: 2022/09/02 - 2022/09/03
【目的】カブは在来品種の多い野菜のひとつで、和食にも多様な調理方法で利用される。山本ら1)がカブの蒸し調理による甘さ評価の向上を確認し、糖含有量との関連を検討した。今回、カブの蒸し調理における遊離アミノ酸含有量の変化に着目して甘さ評価等との関連を検討した。
【方法】カブ(福岡産)は1.5㎝のさいの目切りにし、過熱水蒸気スチームオーブンレンジの蒸しモードを用いた。調理後、ホモジナイズして冷却高速遠心分離した上清を試料溶液とした。遊離アミノ酸はダブシル化してHPLCにて定量し、糖は全糖量をフェノール硫酸法で定量した。官能評価は大学生23名に対し、蒸し調理時間が5分、10分、20分の調理済みカブ試料を1個ずつ提供し、甘さ、うま味、柔らかさ、好ましさをVAS法にて質問した。
【結果・考察】遊離アミノ酸のうち、甘さ評価に関わると思われるアラニン(Ala)、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)を定量した結果、調理済みカブ100gあたりのGlu含有量は、5分調理時の7.65mgから10分調理時の68.12㎎(平均値)に増加した。また、Aspは0分の25.8㎎から5分後に41.3㎎に増加した後、20分調理しても含有量はほぼ変わらなかった。Ala含有量は0分の12.8㎎から20分の8.64㎎まで緩やかな減少傾向がみられた。全糖量は非加熱のカブで100gあたり2.45g、20分蒸し調理しても2.49gで、ほとんど変動しなかった。官能評価から、5分調理と10分・20分調理の甘さに有意性が認められ、蒸し調理したカブの柔らかさや増加したGlu含有量の関与が考えられた。
1)山本ら、日本調理科学会誌、54(1)、49-55(2021)