日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-32
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ポスター発表
コリアンダーの料理に伴う抗酸化活性の変化
*小原 理加恩田 浩幸菊﨑 泰枝
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抄録

【目的】コリアンダー (Coriandrum sativum L.) は地中海地方原産のセリ科の香辛野菜で、サラダ、炒め物、麺の具など様々な料理に用いられ、日本でも注目されている食材である。先行研究において、コリアンダーは抗酸化活性を呈することが知られているが、調理による活性の変化についてはあまり知られていない。そこで本研究では、コリアンダーの調理に伴う抗酸化活性の変化及び活性寄与成分の解明を行った。

【方法】コリアンダーは野菜部分(葉部及び茎部)を用いた。調理は炒め、茹での2種類の方法で行った。未調理および調理コリアンダーは、各種調理コリアンダーは50%メタノールで抽出した。活性成分を解明するにあたって、未調理サンプルを極性の異なる溶媒で順次抽出・分画し、ゲルカラムクロマトグラフィーによる成分の精製・単離を行った。調理サンプル及び単離成分の抗酸化活性測定はORAC法により行った。

【結果】コリアンダーの水溶性画分に強い抗酸化活性が認められ、各種機器分析により11種類の成分を分離・同定した。特にケルセチン配糖体の含有率が高く、抗酸化活性に大きく寄与していると考えられた。2種の調理サンプルについても抗酸化活性を測定した結果、未調理サンプルよりも炒め調理で強い活性が認められることがわかった。一方で茹で調理は活性の低下が認められた。しかしながら、極端な活性の低下は認められなかったことから、あらゆる調理形態において抗酸化活性を発揮することが示唆された。各種調理サンプルにおけるHPLC分析から、含有成分の組成の目立った変化は見受けられず、共通してケルセチン配糖体が活性に寄与していると分かった。加えて、カフェ酸誘導体の存在及び活性の寄与も示唆された。現在、カフェ酸誘導体について検討を進めている。

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