日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-36
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ポスター発表
ドライりんごのおいしさと品質に及ぼすブランチングとUV-A照射の影響
*青木 秀敏中村 陵子青木 敏晃
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抄録

【目的】ポリフェノールやペクチンなどが含まれ機能性の高い果物であるりんごは、乾燥してドライにすれば生食では得られない甘味が生まれ、トッピングとして調理にも使える。しかし、りんごを乾燥する際に褐変が生じ見栄えと風味が落ちる。褐変を抑制させる方法には塩水漬けや酸化防止剤漬け等があるが、本研究では無添加にこだわり、蒸気で蒸すブランチングがドライりんごの美味しさと品質に及ぼす影響を検討した。さらに天日干しに通じる紫外線(UV-A)を乾燥時に照射することによる効果も検討した。

【方法】十和田市産「むつ」を複数の厚さにスライスし、乾燥温度と乾燥時間を一定にして含水率10%程度まで乾燥を行った。ブランチングは家庭用蒸し器を使用し、蒸し時間を変化させた。測定項目は乾燥物の含水率、水分活性値、色彩色度、切断強度、遊離アミノ酸量、総ポリフェノール量、DPPHラジカル消去活性値とした。官能評価は東京ビックサイトでの来場者40名を対象に2点嗜好試験法で行った。

【結果・考察】ブランチングしない乾燥物と比べ、ブランチング乾燥物は蒸すことによって切断強度が1.3倍に固くなり弾力性が失われた。また蒸し時間が長いほど黄色みは余り変わらないが赤色みが増え、明度も下がり褐変度が上昇した。官能評価でもブランチング乾燥物は味と食感が劣っていると評価された。これらの結果は、ブランチング時間が長いほど果肉が収縮硬化し、エキス分の流出が生じたからと考えられる。一方UV-A照射の効果について、非照射乾燥物と比べ、総ポリフェノール含量は1.2倍、DPPHラジカル消去活性値は1.36倍増加した。官能評価では、UV-A照射乾燥物の方が色は劣るが、香りと食感は良いと評価された。

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