日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-35
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ポスター発表
調理前後における料理のビタミンC含量の変化と食品成分表計算値との比較
*小杉 ひかる山﨑 貴子
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抄録

【目的】給食施設等での献立の栄養計算は、食品の調理前の状態である「生」の成分値を用いて行うことが多く、調理による成分値の変化が加味されていないことが懸念される。「食品」では調理によるビタミンCの損失が著しいことが報告されているが、「料理」での変化を調べた報告は少ない。本研究では、調理前の食品及び調理後の「料理」の総ビタミン C 量と還元型アスコルビン酸(AsA)・酸化型デヒドロアスコルビン酸(DAsA)の割合を確認し、調理前後の比較および実測値と食品成分表計算値との比較を行った。

【方法】料理は「こまつなのおひたし」、「キャベツとにんじんの塩昆布和え」、「れんこんとだいこんの梅和え」を選択した。ビタミンCの定量にはヒドラジン法を用いた。食品成分表によるビタミン C量の計算には、日本食品標準成分表 2020 年版(八訂)を用い、「生の成分値」を用いる方法と、「調理後の食品の成分値」および「調理後の食品の質量」から計算する方法で料理1人前の成分値を算出した。

【結果・考察】料理の総ビタミンCは、「キャベツとにんじんの塩昆布和え」と「れんこんとだいこんの梅和え」では調理前の食品の総ビタミンC量の合計値より有意に減少し、「こまつなのおひたし」では差は認められなかった。総ビタミンC量に対するAsA量の割合は全ての料理で調理後に有意に減少し、DAsA 量の割合は有意に増加した。料理の総ビタミンC量の実測値は、食品成分表の「生」の値を用いた計算値の42~60%、「ゆで」の値を用いた計算値の56~159%であった。 以上より、料理に含まれるビタミンC量やAsAの割合は食品と同様に減少し、また食品成分表計算値と実測値には乖離があることが示唆された。

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