日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 1A-1
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口頭発表
異なる穀類を用いた粥のテクスチャーおよび嚥下特性に関する新規手法の検討
*黒飛 知香干野 隆芳
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抄録

【目的】嚥下困難者にとっては,誤嚥に起因する粥などのテクスチャー特性の把握は特に重要である。本研究では,異なる穀類を用いて調製した7分粥のテクスチャーおよび嚥下特性について,ショートバックエクストルージョン(SBE)法などを用い,官能評価に対応する力学的特性について検討した。さらに,人がこれらの特性をどのような力学的特性を指標にしているかを明らかにすることを目的とした。

【方法】粥材料には,うるち米,もち米,発芽玄米,もち麦(4種類)を用いた。粥の調製方法は,粥材料の穀類85 gを1分間洗米した後,蒸留水614 gを加え,おかゆメーカーにて自動炊飯した。官能評価項目は,つぶしやすさ,飲み込みやすさ,べたつき,口中の残留感の4項目とした。物性測定は,特別用途食品・嚥下困難者用食品の試験方法に準じたテクスチャー測定(20℃)およびSBE法を行った。SBE法は,品温45℃および口腔内平均温度34℃(人工唾液なし・あり)の3条件にて実施した。官能評価値と物性値の相関は,各項目間における相関係数を算出して比較した。

【結果】官能評価結果は,全ての項目において試料間で有意差(<0.001)が認められた。官能評価値と各物性測定値の相関係数からは,いずれの官能特性もSBE法から得られる粘度関連特性値(σ0)あるいは見かけ粘度と高い相関が認められた。さらに,見かけ粘度はずり速度に依存するため,官能評価特性ごとに異なるずり速度(舌の動き)や口腔内状態(温度,唾液の有無)で知覚していることが明らかになった。以上より,粥のテクスチャーおよび嚥下特性の評価方法としてSBE法が有用であることを示すことができた。

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