日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 1A-2
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口頭発表
圧力炊飯における加圧時間の違いが玄米に及ぼす影響
*山本 康司露久保 美夏鶴谷 結
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キーワード: 玄米, 圧力炊飯, 物性
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抄録

【目的】玄米は,白米と比べて硬さや粘り気の少なさから消費が避けられることもある。それらを改善するための方法が複数研究されているが,様々な条件下での圧力炊飯が玄米に与える影響に関する研究は少ない。そこで本研究では,玄米を圧力炊飯した際の加圧時間の違いが炊き上がりに及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。

【方法】令和2年 新潟県魚沼産コシヒカリを試料米とした。洗米後,米重量の1.5倍量の加水をし,20℃または50℃で浸漬を行った。加熱には,圧力鍋を用い,加圧条件は80 kPaで12分間,140 kPaで6分間,8分間,12分間とした。比較対象として20℃または50℃の炊飯液を使用し,炊飯器での常圧炊飯を行った。測定項目は,米の吸水率,炊飯時の温度履歴,飯粒の大きさ,胚乳露出率,飯の水分量,飯粒表面および全体のかたさと付着性とした。

【結果】玄米飯の水分量は,20℃浸漬では常圧炊飯に対して140 kPa8分間の加圧で約4%,50℃浸漬では常圧炊飯に対して140 kPa12分間の加圧で約5%増加する傾向が見られた。胚乳露出率は,20℃浸漬では常圧炊飯に比べ140 kPa8分間および12分間加圧と50℃浸漬の全ての140 kPa加圧で有意に増加した。飯粒の表面,全体ともにかたさは,140 kPa炊飯により有意に増加し,20℃浸漬においては加圧時間の増加により有意に低下した。飯粒全体の付着性は,20℃浸漬では全ての圧力炊飯により有意な増加が示され,加圧時間の増加による有意差は見られなかった。以上より,玄米の圧力炊飯の加圧時間の増加によって水分量が増加傾向を示し,20℃浸漬で胚乳露出率が増加,かたさは20℃浸漬で低下が示された。

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