日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 1P-45
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ポスター発表
応答曲面法によるゲル状食品のテクスチャー推定
*藤野 加奈子佐藤 崇雄
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抄録

【目的】野菜や肉,魚などをピューレ状にして,ゲル化剤などで再成形した食品は,介護食やユニバーサルデザインフードとして広く利用されている。再成形後のゲル化食品の物性は,喫食者が安全に飲み込むことできることが前提であると同時に,食品としておいしいと感じられる食感を有していることが求められ,目的とする物性のゲルを得るに至るまでの試作回数が多くなる傾向にある。そこで,本研究では原料配合量から惣菜を模したゲル状食品のテクスチャー特性を予測することを目的に,統計的手法の一つである応答曲面法の有用性について検討を行った。

【方法】RO水にホウレンソウピューレ,ネイティブジェランガム,脱アシルジェランガム,調味のため食塩を添加して調製したゲルをモデル試料とした。試料は中心複合計画に基づいて各原料の配合量を決定して調製し,物性値としてかたさ(応力),凝集性,付着性,瞬間弾力性をテクスチャー試験で測定した。モデル試料を-30℃で18時間冷凍後,室温下で解凍したゲルについても同様に測定を行った。解析は原料の添加量を因子,物性測定値を応答とし,交互作用を含む2次の回帰式を当てはめて行った。

【結果】応答曲面法により得られた予測式で統計的に有意性が認められたのはモデル試料のかたさ,付着性および冷凍後ゲルの付着性であった。解凍後ゲルのかたさの予測式は,Luck of Fit検定においてあてはまりの悪さが見られたが,自由度調整R2乗値は0.88以上,分散分析のp値は0.001未満であり,検証試験の実測値と予測値の差異が小さかったことから,惣菜を模したゲル状食品のかたさと付着性の特性は,原料配合量から傾向把握が可能であることが示唆された。

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