日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 1P-44
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ポスター発表
高齢者施設向け菓子類(米菓)の物性測定値と官能評価の関連性
*下山 亜美関 道子橋口 美智留羽深 太郎吉川 秀樹
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キーワード: 硬さ, 官能評価, 米菓
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抄録

【目的】高齢者施設向けに菓子の宅配事業を行っている企業(A社)が扱う米菓類について物性評価を行い,若年女性の官能評価と比較した。

【方法】A社が扱う菓子類の中で米菓は約40品を占める。そのうち米菓ジャンル毎に無作為に抽出した試料(新潟型(以下R1,R2),揚げせん(R3),おかき(R4),あられ(R5))を用いた。クリープメーターを用い,圧縮速度1 mm/秒,歪率70%まで圧縮し,最大荷重の平均値を硬さの指標とした。唾液浸潤を想定して水分塗布による物性の変化も測定した。官能評価は,若年女性10名を対象に無記名自記式で行った。基準の試料(R1)を「0」としR2,R3,R4,R5を評価する評価尺度法を用い,結果をスコアの平均値で示した。またMS舌圧測定器を用い,最大舌圧の平均値により嚥下機能を評価した。

【結果】最大荷重は,R1,2が12.4~13.5 N,R3:14.1 N,R4:12.1 N,R5:12.2 Nであった。水分塗布によりR1~3の硬さは0.6~1.1 Nまで減少したが,R4,R5は水分塗布による硬さの減少に有意差はみられなかった。破断歪率は,R4<R1,2<R5<R3の順であった。R3は水分塗布によりやわらかくなるが,噛みきりにくいと考えられる。対象者の最大舌圧は33 kPa,そのうち1人は矯正(有)であったが,成人女性の目安値内であった。R1を基準として官能評価を実施した結果,総合評価はR4<R2<R3が+のスコア,R5は8項目すべてで-のスコアであった。最も好まれたR3は基準試料と同じ原料で,物性評価ではR1よりやや高値を示したが,水分塗布による硬さや歪率の減少は近似傾向を示した。一方原料の異なるR10は最も好まれず,物性測定値ともほぼ一致した結果であった。

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