日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 2P-1
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ポスター発表
山梨県産小麦全粒粉の製パン適性の検討
*樋口 かよ橋本 卓也長沼 孝多有泉 直子
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キーワード: 全粒粉, ふすま, 小麦, パン
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抄録

【目的】近年,健康志向や地産地消への関心の高まりから,本県の小麦奨励品種である“ゆめかおり”を原料とした小麦粉や全粒粉を使用したパンの開発が積極的に行われている。一方で,全粒粉を使用して試作したパンについて,比容積が小さく,独特の風味となるため,商品化や製造が難しいという相談が寄せられていた。そこで,県産小麦のふすまや全粒粉の成分分析を行うとともに,製パン適性について確認した。

【方法】小麦原麦について製粉試験を行い,水分,たんぱく質,脂質,食物繊維総量,灰分,水溶性ビタミンB群量の測定を行った。製パン試験では,市販の県産ゆめかおり粉と全粒粉を使用し,ストレート法による山食パンおよび発酵種法によるバゲットを焼成した。山食パンは,全粒粉をゆめかおり粉に対して0,10,30,50,70,100%まで混合した粉を使用した6種類,バゲットは,ゆめかおり粉を生地種として,本生地をゆめかおり粉または全粒粉とした2種類を試作した。山食パンは,外観の評価,菜種置換法による比容積の測定,ノギスによる高さ測定,クラムの評価を行った。バゲットについては外観およびクラムの評価を行った。

【結果】県産小麦ゆめかおりについても,ふすまおよび小麦原麦に食物繊維総量および水溶性ビタミンB群量が多く含まれていたため,全粒粉は機能性の高い食品素材として活用できることがわかった。製パン試験の結果,山食パンでは,全粒粉の混合割合が増えるほど,比容積,高さ,クラムの評価が低くなる傾向が見られ,バゲットでは,全粒粉を使用したパンでクラムの気泡が小さくなった。したがって,全粒粉を使用したパンの製造については,種類毎に適切な製造方法を検討する必要があることがわかった。

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