日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 2P-6
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ポスター発表
阿波晩茶乳酸菌Lactobacillus pentosusで調整したサワードウを用いたライ麦蒸しパンの試作
*村上 芽生岡崎 貴世
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抄録

【目的】徳島県で伝統的な製法で作られている阿波晩茶は,乳酸菌で発酵させる後発酵茶である。近年,乳酸菌の持つ機能性が注目されているが,阿波晩茶由来乳酸菌もプロバイオティクスとしての効果が期待されている。これまで当研究室では阿波晩茶乳酸菌を用いて発酵漬物,ヨーグルト及びライ麦パン(サワーパン)の開発を試みてきた。そこで本研究ではサワー種を用いたライ麦蒸しパンの調整を検討した。

【方法】供試菌として阿波晩茶分離菌のLactobacillus pentosusを用いた。サワー種はライ麦粉(全粒粉・細挽)120g,乳酸菌懸濁液(OD660=1.0)1.2 mL,水120 mLを混合後,30℃で24時間培養して調整した。このサワー種を薄力粉またはライ麦粉と混合し(ライ麦粉配合割合25〜100%),さらにベーキングパウダー,砂糖,サラダ油を添加して20分間蒸して,ライ麦蒸しパンを調整した。各蒸しパンの重さ,高さ,水分量,色調(L*a*b*値),物性(クリープメーター,(株)山電)を測定し,評価を行った。また粒度の異なるライ麦粉(細挽,中挽,粗挽)による影響も測定した。

【結果・考察】蒸しパンはライ麦粉配合割合が多いほど高く膨張した。ライ麦粉はグルテンを形成しないため蒸しパンの表面が割れやすくなることが高さに影響したと考えられた。配合割合は蒸しパンの水分量に影響せず,色調(L*値)はライ麦粉の割合が多いほど低値となり暗い色を示した。物性はライ麦粉が多いと凝集性が低く,付着性の高い蒸しパンになった。また,粗挽ライ麦粉の蒸しパンは,他の粒度に比較して色調が暗く,凝集性及び付着性は有意に低くなることがわかった。

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