日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 2P-7
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ポスター発表
国産小麦粉のパン製造における生地の膨化に及ぼす影響
*高橋 真美
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抄録

【目的】国産小麦の新品種の育成において,「麦新品種緊急開発プロジェクト」をはじめ,ニーズを踏まえて高品質化,早生化,安定かつ大量供給などが可能な地域で盛んに推進されている。製パン用小麦でも国産小麦に注目され,多くの新品種が育成されている。また,パン製造では,酵母は生地の膨張,熟成,芳香性などに関与し,ガス発生,パンの膨化,おいしさなどに影響を及ぼすことが知られている。本研究では,国産小麦の活用を目的に,生地物性に及ぼす水分量,温度などの条件の検討を加えた。

【方法】パン材料の強力粉は,北海道産小麦粉を実験に供した。生地の膨化力は,45分間隔で測定し,発酵温度の違いによる測定を行った。水分量の測定は,加水量を調製し,生地の膨化力を測定した。

【結果】生地の膨化における発酵温度の影響では,測定90分では温度30℃および38℃の比較において,発酵30℃の方が高い値を示した。測定90分から270分間は,いずれの測定においても30℃が高い値となった。カメリヤと国産小麦粉との比較では,温度30℃での比較では,国産小麦粉の方が測定225分から360分間において差が認められた。水分量を段階的に加減した結果,生地の膨化力に差が認められた。国産小麦粉は水分量として基準よりも添加を多少増やすことで生地の膨化が高まることが認められた。これは,本実験で用いた国産小麦粉は,カメリヤよりも加水量の影響を受けやすい小麦粉であることが確認された。これらの結果から,国産小麦粉を用いてパン製造を行う場合,発酵温度,水分量を調製することで良好な条件が得られると推察された。

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