日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 2P-18
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ポスター発表
真空包装処理による金時豆の吸水促進および調理時間短縮効果
*熊谷 美智世磯野 友理奈大田原 美保
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キーワード: 真空包装, 金時豆, 吸水, 軟化
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抄録

【目的】真空調理の工程の一つに真空包装がある。食材と液体を袋に入れて真空包装を行うと圧力勾配により食材内に液体が浸入するといわれている。そこで ,真空包装を豆の浸漬に利用し,真空包装が吸水および浸漬・加熱後の硬さに及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。

【方法】金時豆を試料とした。試料5粒と試料重量の10倍量の純水を専用袋(MICS化学(株)NY-1)に入れ,卓上チャンバー式真空包装機(真空度:99.9%,時間:60秒 東静電気V-280A)により包装し,そのまま浸漬した場合(真空包装),ポリエチレン袋に入れて浸漬した場合(常圧包装),真空包装後に開封した状態で浸漬した場合(真空後開封)について検討した。浸漬時間は0(包装直後)~90分間とし,浸漬後の吸水率と硬さ(TA-XT plus,英弘精機)を測定した。真空包装と常圧包装については0~60分間浸漬後,15~45 分間加熱し硬さを測定した。

【結果】 吸水率は,真空包装直後でも常圧包装30分浸漬と同等の値となり,さらに真空包装30分浸漬では,真空包装直後の2倍以上となり常圧包装90分浸漬よりも高値であった。浸漬後の硬さは,真空包装直後でも常圧包装90分浸漬と同程度であった。真空後開封試料は真空包装試料と同様の傾向を示しており,真空包装処理そのものが吸水促進に寄与することが示唆された。加熱後の硬さの値は,いずれの加熱時間でも真空包装直後に加熱した試料の方が 常圧包装60分浸漬後に加熱した試料よりも小さかった。真空包装では浸漬0分でも45分加熱で食せる軟らかさになったのに対し,常圧包装では60分浸漬後に45分間加熱が必要であった。本研究により真空包装を金時豆の浸漬に利用することで吸水が促進され調理時間が短縮できる可能性が示された。

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