日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 2P-19
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ポスター発表
ムクナ豆を原料とした米麴発酵飲料の可能性の検討
*矢崎 遥加藤 茉優深澤 美優郡山 貴子
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抄録

【目的】ムクナ豆はでんぷんやたんぱく質が豊富で,食資源への活躍が期待されるが,調理過程でL-dopaを除去する必要がある。ムクナ豆で味噌を調製した場合,発酵過程でL-dopaは消失し,抗酸化能は向上する。本研究ではムクナ豆が主原料の発酵食品として甘酒に着目し,米麴を用いて甘味度を上げ,機能性にも優れた発酵飲料を開発するために有用な知見を得ることを目的とした。

【方法】コントロールは米が主原料の甘酒とし,米を粥状に炊き,米麴と混合し,55℃の恒温器で8時間発酵させて調製した。ムクナ豆発酵飲料は,調製過程において,とろみ(①加水量,②米麴添加量),粒の状態(③攪拌条件),色味(④煮熟後の水晒し回数)について検討し,最適な調製方法を決定した。その後,ムクナ豆と米の置換率を0,25,50,75,100%に変えた5種の試料を調製し,L-dopa含有量,pH,糖度,抗酸化能等を評価した。

【結果】ムクナ豆発酵飲料の最適条件は①豆乾燥重量の2倍,②豆乾燥重量の1倍,③7,500 rpmで15秒,④1分間で1回,であった。この条件でムクナ豆の置換率を0~100 %と変えた試料の調製結果は,8時間後に全試料でpH5.5以下となった。糖度は全試料で時間経過に伴い上昇し,8時間後に高値を示したのはムクナ豆75%>50%>25%>0%>100%の順であった。これにより,ムクナ豆発酵飲料の糖度上昇には適度な米の存在が効果的だと示唆された。また,最低値を示した場合でも市販の甘酒に比べて糖度は高く,十分に糖化することが分かった。抗酸化能は,ムクナ豆の含有量の増加に伴いDPPHラジカル消去活性は高値になった。 これらのことから,ムクナ豆を主原料とした麴発酵飲料は調製可能であり,今後詳細な検討が必要と思われる。

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