日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 2P-21
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ポテトサラダの喫食時温度がおいしさへ与える影響
*波多野 由美吉岡 希下畑 陽美吉村 由祐子上地 利征
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抄録

【目的】家庭で作るポテトサラダのおいしさを工業的製法で再現する方法について,これまでにソース部分の油の乳化状態やデンプンの流出度合いが重要であることを明らかにした。今回は喫食時の温度に着目した。スーパーなどで売られている冷蔵流通しているポテトサラダと異なり,家庭では調理直後のやや温かい状態であることが,よりおいしさを引き出していると考えた。そこで,喫食時温度がおいしさに与える影響を明らかにすることを目的として,温度を変えた時のおいしさや物性,味の変化について評価を実施した。

【方法】蒸し芋,マヨネーズ,また一般的な配合で試作したポテトサラダのそれぞれについて,約10℃のものと,レンジで温めて約25℃にしたものを用意し,官能評価を実施した。また,市販惣菜のポテトサラダについて,同様に温度条件が異なるものを用意し,味認識装置による測定と,SPME-GC-MSによる香気成分分析を行った。

【結果】官能評価の結果,蒸し芋,マヨネーズ,ポテトサラダのそれぞれについて,温めた方が香りが強く,食感がなめらかで好ましいとの評価が得られた。また,温めた方が酸味や苦味雑味,渋み刺激センサーの応答が低減した一方で,旨味や旨味コクセンサーの応答が高くなった。さらに,温めた方が各香気成分が増加傾向を示し,特にマヨネーズ由来の香気成分が増加した。 以上から,喫食時温度を冷蔵から常温にすることで,芋及びマヨネーズの香りや物性が変化し,ポテトサラダとしても香りが強く食感がなめらかになり,よりおいしく感じられることが明らかになった。したがって,市販のポテトサラダについてもレンジで温めることで,手作りのようなおいしさを引き出せるため,新たな喫食方法として期待できる。

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