日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 2P-38
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ポスター発表
南三陸町地域食材を活用した課題解決型学習による地域連携の取り組み
*近堂 知子
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抄録

【目的】南三陸町はホヤの生産量が日本一である。しかし,東日本大震災による原発事故の海洋汚染を疑われ,主たる輸出国であった韓国への輸出が停止し,現在もその状況が続いている。南三陸町歌津中学校では,課題解決型学習として,ホヤの国内消費拡大を目指し,ホヤレシピを考案し地元関係者に提供する「1日レストラン」を開催することになり,本学4年生がそのサポートを行った。連携授業は2020年度から始まり,地域連携,課題解決型学習,地域活性化への貢献,SDGs,学生の実践的な教育など様々な目的で行われ3年間継続している。

【方法】2022年度は本学家政学部食物栄養学科,調理学研究室卒業演習履修者2名,歌津中学校1年生29名が本取り組みに参加した。2022年度はホヤのお弁当をテーマとした。本学学生が「バランスのよい食事とお弁当」という食育動画を作成し中学生が視聴。また海洋食資源の専門家の講義を受けた。中学生が発案したレシピに本学学生がオンライン等でアドバイス,試作などの結果を共有しながらレシピを完成させた。10月歌津中学校にて実習のサポートを行った。プロジェクト前後にアンケート調査を行い,本取り組みについて考察した。

【結果】ホヤには,鉄分,亜鉛などの栄養素が豊富に含まれているが,独特な酸味や苦味によって苦手に感じる人も少なくはない。どのようにすれば抵抗なく美味しく食べることができるのかを中学生と共に考え,レシピを考案した。取り組み前ではホヤが好きな中学生は18.2%しかいなかったが,取り組み後では71.4%がよい印象になったという結果であった。両校生とも課題解決力の向上が見受けられ,食文化の普及と伝承に貢献できた。

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