日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: P-k23
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特別企画 多様な調理法と家庭料理の伝承 ポスター発表
中国・四国支部の多様な調理法と家庭料理の伝承調査
—全国調査:学生における住居形態別の食生活・調理に対する意識の違い—
*荒井 恵美子三木 章江宇髙 順子福留 奈美岡本 洋子高橋 啓子
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抄録

【目的】急速に変化している家庭料理の現状を把握し,家庭料理の伝承のための方策を検討することを目的に,家庭料理の調理法及び調理器具等に関する調査を行った。ここでは,中国・四国9県を対象とした調査結果から,若者の住居形態別の食生活の実態および課題と調理に対する意識の違い等について報告する。

【方法】2022年12月~2023年2月,中国・四国9県に在住する学生1,902名を対象にWebアンケート調査を実施した(有効回答1,062名,有効回収率55.8%)。得られたデータを仮名化・コード化した後,住居形態別(自宅群と自宅外群)に集計してχ2検定を用いて解析した(有意水準5%未満)。

【結果】自宅群は自宅外群に比べ「夕食には米飯を食べる」,「毎食,主食・主菜・副菜を揃えるようにしている」,「旬の食材を選ぶようにしている」,「食費は削りたくない」等の割合が有意に高かった(p<0.01)。また,自宅外群が自宅群に比べ有意(p<0.01)に小さいころ家族と調理することがよくあり,和食より洋食が好きな人の割合が少ない傾向であった。「食事が楽しみ」は94.0%,「調理することは楽しい」は83.8%,「調理は短時間でできる方がいい」は87.5%といずれも高い割合で,自宅群と自宅外群の差は見られなかった。また「我が家の味を伝承したい」が65.1%,「家で作ったものよりも買ったものの方がおいしい」が15.3%の結果より,自宅・自宅外群ともに家庭の食事のおいしさや価値を強く認識していることが推察された。調理に参考にするものとして「インターネットのレシピサイト」が78.4%と高く,次いで「料理動画」及び「学校の調理学実習」が過半数を占めていた。学校教育や大学での調理学実習は一定の意義があると考えられた。

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