日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 2C-3
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口頭発表
市販魚介類における薬剤耐性菌の分布状況
*石田 千津恵島本 敏島本 整
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抄録

【目的】1980年頃から,抗生物質の不適切使用等を背景とする新たな薬剤耐性菌の出現が,世界規模で問題となっている。薬剤耐性菌による食品汚染も報告されており,ワンヘルスでのアプローチが求められる。特に野菜や魚介類は,生で喫食する機会が多く,ヒトの体内で新たな薬剤耐性菌の誕生につながる恐れもある。このリスクを明らかにすることは食品衛生上極めて重要である。本研究では市販魚介類を対象に,薬剤耐性のグラム陰性細菌およびビブリオ属細菌の分布を調査した。

【方法】市販魚介類50サンプルから各25 g採取し,APW(アルカリペプトン水)で処理後,一般生菌数測定,直接塗抹培養,増菌培養後に選択分離を行った。直接塗抹にはマッコンキー寒天培地とビブリオ属細菌の選択分離培地であるX-VP寒天培地を用い,それぞれアンピシリン100 µg/ml添加培地も用いた。増菌培養にはLB培地(適宜NaCl添加)と,アンピシリン100 µg/ml添加培地を用いた。選択分離にはマッコンキー寒天培地とX-VP寒天培地を用い,抗生物質はコリスチン(4 µg/ml),アンピシリン(100 µg/ml),セフォタキシム(4 µg/ml),メロペネム(4 µg/ml)を使用した。

【結果・考察】市販魚介類に102~106 CFU/gの一般生菌が存在していた。直接塗抹培養により,アンピシリン耐性のグラム陰性細菌が44サンプルから,ビブリオ属細菌が7サンプルから検出された。選択分離より,ビブリオ属細菌は22サンプルから52株が,グラム陰性細菌は48サンプルから236株が分離された。今後,各菌株の生化学試験および耐性遺伝子解析を実施し,市販魚介類由来の薬剤耐性菌の解明に取り組む。

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