会議名: 2023年度大会(一社)日本調理科学会
開催地: 県立広島大学
開催日: 2023/09/09 - 2023/09/10
【目的】加熱前貯蔵および加熱条件の組み合わせがマダイのテクスチャーおよび呈味成分変化に及ぼす影響について検討した。
【方法】〔試料調製〕マダイを2cm厚に切り,氷中で1および14日間(1 dおよび14 d)貯蔵後,85℃90 secおよび63℃30 min(HTSTおよびLTLT)で加熱した。〔pHおよび水分含量〕pHメーターおよび常圧加熱乾燥法で測定した。〔テクスチャー解析およびサンプル厚〕テンシプレッサーで測定した。〔SDS-PAGE〕Laemmli法により行った。〔核酸関連物質(NRCs)および遊離アミノ酸(FAAs)〕HPLCおよびUPLCで測定した。〔相対うま味濃度(EUC)の算出および階層的クラスター解析〕NRCsおよびFAAsの分析値に基づいて行った。
【結果・考察】〔pHおよび水分含量〕pHは変化せず,水分含量も貯蔵による変化は認められなかったものの,加熱条件間においては未加熱試料,LTLT,HTSTの順に低値であった。〔テクスチャー解析およびサンプル厚〕かたさとサンプル厚は,貯蔵日数と加熱条件の影響を受けており,特に加熱条件による影響が大きかった。〔SDS-PAGE〕試料間でバンド強度の変化はなかった。〔NRCs〕貯蔵日数と加熱条件の影響を受けていた。〔FAAs〕貯蔵日数と加熱条件いずれにおいても,一部有意差はないものの, 14 d貯蔵後に増加する傾向にあった。〔EUC〕一部有意差はないものの,14 d貯蔵後に高値となる傾向にあった。〔階層的クラスター解析〕貯蔵日数と加熱条件の影響を受けており,特に貯蔵日数による影響が大きかった。以上より,短期間貯蔵後の加熱によって,より嗜好性の高い加熱魚肉が調製できる可能性が示唆された。