日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 2D-6
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口頭発表
水分勾配が異なるうどんの物性と若年者・高齢者による咀嚼・嚥下特性
*村上 紗希村井 尚子佐藤 友紀三浦 進司桑野 稔子吉村 美紀江口 智美
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抄録

【目的】超高齢社会の我が国において,高齢者の低栄養が問題となっている。水分量の多い食品は食べやすい一方,摂取量あたりの栄養素量に限りがあり低栄養を招きうる。水分量を増やさずに,水分勾配により食べやすさを制御できれば,栄養摂取に有利で安全な食品への応用展開が期待できる。本研究では,水分量が同程度だが水分勾配が異なるうどんの物性と咀嚼・嚥下特性を検討した。

【方法】小麦粉を主材料としたうどんを用い,10分間ゆでた直後のもの(10 min,0 h),10分間ゆでた後1.5時間保存したもの(10 min,1.5 h),20分間ゆでた後1.5時間保存し,60℃のオーブンで5分間焼成したもの(20 min,60℃ 5 min)を試料とした。試料の水分量,破断特性を測定し,高齢者(10名,74.8 ± 1.2歳)および若年者(13名,22.0 ± 0.5歳)における試料摂取時の咀嚼筋筋電位測定を行った。

【結果】水分量は,試料間に差異は認められなかった。筋電位測定では,両世代で舌骨上筋群,咬筋ともに咀嚼時間,総筋活動時間,総筋活動量が10 min, 0 hおよび10 min, 1.5 hより20 min, 60℃ 5 minで有意に低値だった。これは破断歪および破断エネルギーが10 min,0 hより20 min, 60℃ 5 minで有意に低値だった結果と一致した。咬筋の振幅は,若年者においてのみ,10 min, 0 hより10 min, 1.5 hおよび20 min, 60℃ 5 minで有意に低値であり,破断歪と試料間の関係が一致した。水分勾配が試料の物性や咀嚼・嚥下特性に影響を及ぼすことが示された。

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