日本調理科学会大会研究発表要旨集
2023年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2E-1
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口頭発表
ベルモット酒を使用したクリームソースの香りに関する研究
*齊藤 博則福本 陽井辺 恵宮沢 紀雄石崎 享
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抄録

【目的】ベルモットソースはフランス料理の代表的なソースであり,フレーバードワインのベルモットと生クリームを主材としてつくられる。その風味はクリーミー,ハーバル,酸味といった複雑さを有している。この複雑な風味は他のクリームソースにはみられない特徴的なものであるが,その匂いに寄与する成分は不明である。そこで,本研究ではベルモットソースの香気分析を行い,香りに寄与する成分の解明を試みた。

【方法】調理後の試料について減圧蒸留を行い,溶媒抽出および濃縮を経て香気濃縮物を調製した。得られた香気濃縮物を用い,GC-MS分析およびGCにおいかぎにより重要香気成分の絞り込みを行った。

【結果】GC-MS分析の結果,主要成分として生クリームに由来する2-Heptanone等のケトン類やOctanoic acid等の酸類,ベルモットに由来する2-Phenylethyl alcohol,Diethyl malate,Monoethyl succinate等が検出された。GCにおいかぎの結果,香気貢献度の高い成分は,trans-4,5-Epoxy-2(E)-decenal(メタリック),4-Hydroxy-2,5-dimethyl-3(2H)-furanone(スイート),12-Methyltridecanal(ワキシー),2-Phenylethyl alcohol(ハネー)であった。これらの成分は生クリーム,ベルモットに加え,材料に使用しているエシャロットに由来する成分も含まれていた。また,強い調理感を感知した不明成分について詳細分析を行った結果,調理感に寄与する成分として3-Mercapto-2-methylpentanolを同定した。

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