日本調理科学会大会研究発表要旨集
2023年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2E-5
会議情報

口頭発表
食品と器の色が若者の嗜好に及ぼす影響
*森山 三千江山本 淳子大森 有希乃熊崎 稔子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】人は五感を通して美味しさを感じると言われており,視覚である食品の見た目は食べる前に食欲をそそる最も重要な要素とも言える。食品の色は暖色系が食欲を増進させると言われているが,近年はSNSの発達により食品の色も鮮やかなものもあり,その盛り付けや食器など様々な工夫を凝らして美味しそうに見せるようになってきている。そこで,同じ食品でも食品の色と器の色によって食欲が増進あるいは減退するのかを調査し,食欲をそそる食品と食器の色の組合せを検討することを目的とした。

【方法】赤,青,緑,黄,紫,茶,白,黒の食用色素で色をつけたカップケーキを用意し,それぞれを白色と黒色の皿に載せて,どの組み合わせのものが好まれるか学生52名をパネラーとして最も好まれる組み合わせについて官能評価を行なった。同時にカップケーキと皿の色調を測定し,カップケーキと皿の色差を計算した。色調は簡易色差計BP-1を使用し,U.C.S表色系のハンター表色法を用いて,L*値(明るさ),a*値(プラス方向に赤,マイナス方向に緑),b*値(プラス方向に黄,マイナス方向に青)で表した。

【結果・考察】カップケーキの色は最も一般的である白色がどちらの皿を使用していても好まれたが,白皿との組み合わせを好む割合が高かった。全ての組み合わせのうち白皿との組み合わせを選んだ者は63%,黒皿との組合せを選んだ者が37%と白皿を用いた組み合わせの方が好まれる傾向にあった。カップケーキの色が白色以外の組み合わせではカップケーキと皿との色差が小さいものが好まれる傾向にあった。これは皿の上に載せたカップケーキの色が際立って色彩が強調されると,毒々しいイメージとなり食欲が減退するのではないかと考えられた。

著者関連情報
© 2023 日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top