日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 2E-6
会議情報

口頭発表
玄米由来新規素材の調理への利用に関する研究
*後藤 咲季永松 千怜松村 優升井 洋至
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】玄米の糠層には,食物繊維やビタミン類,ミネラル類など,栄養成分が豊富に含まれている。しかし,糠層は,玄米から精白米への搗精時,重量で約1割程度が廃棄されている。本研究では,精米時に不要とされ,栄養価が高い糠層を食糧源として有効活用することを目的とし,玄米搗精時に生じる不味な糠より栄養価と良食味を両立し得る玄米部位を選択的に採集し得られる,亜糊紛層,胚芽の胚盤及び破砕細胞群から成る玄米由来新規素材(東洋ライス(株)製,玄米エッセンス)(以下,玄粉)の調理への利用性について検討を行った。

【方法】ホットケーキやスコーン等の焼き菓子やスムージー,みそ汁等の飲料類,ディップソース等,21種類の調理品を対象とした。玄粉0%を対照とし,調理品の主原料に対して玄粉を5%添加または置換した試料を作製し,官能評価による比較を行った。高評価を得たホットケーキおよびディップソースについて,玄粉割合を10%または20%の試料を作製した。試料は,①クリープメータ(山電製,RE2-3305B)による物性測定②測色色差計(日本電色工業製,NE4000)による色差測定,③水分計(島津製作所製,MOC63u)による水分測定,④におい識別装置(島津製,FF-1A)によるにおい分析,⑤官能評価を行った。

【結果】官能評価において,玄粉の置換により,焼き菓子およびディップソースでは高い評価を得た。一方,粘性のない飲料やスープ類では粉っぽさや後味の点で,嗜好性が低下した。玄粉置換のホットケーキは,対照と比較してL*値およびb*値が増加し,かたさは低下した。また,玄粉添加のディップソースでは,L*値の低下,a*値・b*値の増加,付着性の増加が確認された。におい分析では,玄粉添加による大きな影響はみられなかった。

著者関連情報
© 2023 日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top