日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 1P-14
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ポスター発表
サラダドレッシングが低温調理した鶏肉の物理化学および官能特性に及ぼす影響について
*伊藤 歩美猿舘 那菜柳澤 琢也石川 敦祥平形 清人奥田 悠介熊谷 信介石川 伸一
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抄録

【目的】食肉の下ごしらえにマヨネーズやその他のドレッシングを使用して,「焼く」「茹でる」といった調理についての報告はあるが,ドレッシング中での加熱や低温調理を行う研究や報告は少ない。そこで,本研究では,ドレッシング中で食肉を低温調理することで,ドレッシングの新しい調理への応用と食感改良効果(おいしさ)の可視化することを目的とした。

【方法】実験①ではキユーピー社製のごま油&ガーリックドレッシング,深煎りごまドレッシングおよびマヨネーズを,実験②では植物油,食塩,食酢,砂糖を蒸留水である割合に希釈した調味料液を,コントロールには蒸留水をそれぞれ鶏むね肉100 gあたり10 gの割合で添加した。一定時間漬け込み,60℃,3時間低温加熱した。一定時間冷蔵後,硬さなどを測定し,官能評価および電子顕微鏡などにより内部構造の観察を行った。

【結果】硬さについて,実験①ではコントロールと比較してマヨネーズを使用した試料で有意に低い値を示し,他ドレッシングを使用した試料でも低下する傾向がみられた。実験②ではコントロールおよび食酢・砂糖を使用した試料と比較して,植物油を使用した試料で有意に低下した。官能評価の結果,実験①ではコントロールと比較して,分離および乳化液状ドレッシングを使用した試料が有意に柔らかく,一噛み目の多汁性が有意に高い評価となった。実験②では食酢を使用した試料は砂糖を使用した試料と比較して有意に柔らかく,一噛み目の多汁性は植物油を使用した試料と比較して食塩を使用した試料が有意に高い評価となった。電子顕微鏡観察の結果,コントロールと比較して各ドレッシングや植物油を使用した試料で異なる筋繊維の様子が観察された。

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