日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 1P-29
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ポスター発表
風味成分分析による昆布だしの取り方の検討
*鳥海 滋佐々木 多佳
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キーワード: 昆布, だし, におい成分
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抄録

【目的】昆布は,和食に欠かせないだし原料の一つである。昆布だしには,うま味成分のグルタミン酸が豊富に含まれる。昆布だしの取り方はいろいろあるが,60℃・1時間抽出はうま味が強く良い方法とされている。本研究では,異なる昆布だしの取り方による風味(においと味)の違いを成分分析により検討した。

【方法】試料は,市販の昆布乾燥品(真昆布,日高昆布)を用いた。抽出に用いた水は,イオン交換-蒸留水を用いた。だしの抽出は,2%(w/v)の昆布片を水に浸漬し,5℃で12時間(水だし法),室温で1時間静置した後80℃まで加温(煮だし法),および60℃まで加温し60℃を1時間保持(60℃-1h法)の3通りにて行った。におい成分は,固相マイクロ抽出法により捕集し,ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC-MS)にて一斉分析した。水溶性成分は,トリメチルシリル誘導体化し,GC-MSにて一斉分析した。

【結果】異なる試料・抽出法により得られた昆布だしに共通するにおい成分として,ヘキサノール,1-オクテン-3-オール,3-オクタノン等が検出された。におい成分の主成分分析を行い,煮だし法および60℃-1h法は,水だし法とは明確に識別され,1-ドデカノールや1-ウンデカノール等の成分が寄与していることが分かった。一方,昆布だしに共通する水溶性成分としては,マンニトールやグルタミン酸等が検出されたが,主成分分析では抽出法の違いを識別できなかった。なお,2つの試料の違いは,抽出法によらず,におい成分,水溶性成分いずれの主成分分析によっても明確に識別された。以上により,昆布だしの取り方による風味の違いは,味よりもにおいの違いが寄与することが示唆された。

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