日本調理科学会大会研究発表要旨集
2024年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1P-35
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五感を意識した食育プログラムの実践と検証に関する研究
*露久保 美夏磯邊 里紗
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キーワード: 五感, 食育, 検証
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抄録

【目的】食育活動を通して得られる子どもたちの学びは多様であるとされる一方、効果の検証方法がひとつの課題となっている。そこで本研究では、子ども自身が多くの食材に触れて自らが調理をする体験活動を通して獲得する感性や学びについて、子どもたちの記述や制作物と行動記録をもとに明らかにし、食育プログラムの有効性について検証することを目的とした。

【方法】2023年〜2024年に実施した、1コース3ヶ月6回の講座を対象に検証を行った。対象年齢は2歳~10歳、参加人数は1回あたり約6名で、3時間とした。カリキュラム内容は、季節の食材を取り入れ、五感を使うことを意識して食材に向き合いながら自分たちで調理を行い、調理時間は2時間以上を確保した。効果の検証には、毎回の動画および音声記録と参加者が記述したノートや制作物を用い、質的な分析を行うこととした。

【結果・考察】調理は最初に手順を伝え、その後は子ども達が主体で取り組むことを基本としたことから、子どもたち自身がどうしたらいいか考えて試行錯誤し、思考力が鍛えられる姿がみられた。また、自分の五感を使いながら味付けを行うことで、自分なりの尺度を持ちながら調理によって変化する食べものの味わいを捉えるようになったことがうかがえた。協調性においても変容が見られ、集団で活動することで自分と他者との違いを感じるようになることや、他者に対する声の掛け方がより適切なものとなっていった。この他、自己管理能力や学習意欲の向上などにおいて変容が見られ、これらには本講座の取り組みが影響している可能性が示唆された。

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