【目的】 和菓子の材料として用いられるテングサは静岡県の特産品である。寒天を用いた夏の和菓子の一つに「錦玉」がある。錦玉は,寒天と砂糖を煮溶かして型に入れて固めた生菓子で,透明で清涼感を呈するため,夏の和菓子に用いられる。生菓子の「錦玉」を乾燥させたものは「琥珀糖」と呼ばれ,半透明の半生菓子となる。錦玉や琥珀糖に関する先行研究をみると,錦玉や琥珀糖の物理特性に関する報告は殆どないのが現状である。また,材料である糖類が錦玉の物理特性に及ぼす影響に関して殆ど検討されていない。本研究では,糖類の種類が錦玉の物理特性に及ぼす影響を経時的に検討した。
【方法】 錦玉の調製方法について,材料や配合割合に関して文献調査を行った。調査の結果より,錦玉の材料を寒天,糖類,蒸留水とした。本研究では,寒天として粉寒天,糖類として二糖類を用いた。調製方法として,寒天に水を加えて加熱・溶解後,糖類を加えて溶解させた。ザルでこした後,流し缶に流し入れて冷却して凝固させ,切り分けたものを試料として実験に供した。錦玉は,食品乾燥機を用いて35℃で乾燥させた。色彩構成,物理特性,重量などの変化を経日的に検討した。色彩構成(L*a*b*値)は色彩色差計,硬さ・凝集性・付着性は卓上物性測定器を用いて測定した。
【結果】 糖類が錦玉の物理特性に及ぼす影響について検討した。本稿では4種類の二糖類(スクロース,パラチノース,トレハロース,マルトース)の結果を示す。パラチノースとマルトースは,時間の経過とともに硬さ・凝集性・付着性が増加した。一方,トレハロースは,水分含量の減少割合が他の糖に比べて小さく,硬さや付着性についても他の糖と異なる傾向が見られた。