日本調理科学会大会研究発表要旨集
2024年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1D-8
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スチームコンベクションオーブンによるノンフライ調理品の加熱時間の予測
*能登 美尋安達 向日葵徐 知希佐藤 瑶子
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抄録

【目的】スチームコンベクションオーブン(以下スチコン)は、食材に油を塗布して加熱することでノンフライ調理品の製造が可能である。本研究ではスチコンによるノンフライ調理品の加熱時間の設定を目的に、ジャガイモの内部温度変化をシミュレーションするモデルを構築した。【方法】庫内空気からの対流伝熱とホテルパンからの伝導伝熱を考慮した伝熱解析モデルを作成した。サラダ油を塗布したジャガイモ(直径2.8 cm,高さ3 cm)をスチコン(TSC-10GB,タニコー、CSX-G101, コメットカトウ)で180℃~220℃、蒸気量0%で加熱し、中心温度の実測値と予測値を比較した。対流熱伝達率は、アルミニウム円柱(直径3 cm高さ3 cm)加熱時の温度の実測値にフィッテイングするよう算出した。次にジャガイモ(1.5 cm×1.5 cm×4 cm)の200℃加熱時の硬さの変化を測定した(テクスチャーアナライザー)。最後に市販品を参考に種々の形状のジャガイモの加熱時間を比較した。計算には有限要素法ベースのシミュレーションソフトウェアCOMSOL Multiphysicsを用いて行った。【結果】加熱温度および使用するスチコンが異なる条件での試料内部温度の実測値と予測値は概ね一致し、ジャガイモの内部温度変化のシミュレーションが可能であることを確認した。試料中心温度の予測値が98℃付近で適度な硬さになった。中心温度が98℃になるまでの加熱時間は三日月形(長軸6 cm短軸5 cm楕円体の1/12)で3.5分であり、同一形状では加熱温度によらずほぼ同じであった。今回検討した条件の範囲では、加熱時間の差は加熱温度間よりも試料形状間の方が大きかった。

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