日本調理科学会大会研究発表要旨集
2024年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1E-5
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クメール料理「ボボーモアン(鶏肉入りお粥)」の栄養価の推定
*針谷 夏代望月 和樹平山 訓子有井 美咲河角 彩加宮本 和子
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キーワード: クメール料理, 栄養価, 朝食
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抄録

【目的】カンボジアでは米を主食とし、肉や魚を使った主菜と野菜の入ったサラダやスープが食されている。屋台飲食が盛んで、頻繁に外食する習慣が定着している。朝食には肉類や野菜が入った粥や米粉麺が主流である。経済発展により農村部と都市部で貧富の差が拡大し、富裕層では過栄養、貧困層では低栄養を健康問題として抱えている。農村部では識字率の低さや言語の壁から食事記録法や食事歴法による食事調査が困難であることから陰善法が適していると考えられるものの、現地で食品分析を行うことが困難であることから、食品重量から栄養価を推定する方法を検討する必要がある。このため本研究は、伝統的なクメール料理である「ボボーモアン(鶏肉入りお粥)」の栄養価を加熱調理後の食品重量から推定した。さらに現地調査を行い、都市部および農村部の市場で売られているボボーモアンを比較した。

【方法】ボボーモアンのオリジナルレシピを作り、調理を3回行った。食品ごとに重量を測定し、平均値を栄養価計算に用いた。栄養価計算は食品成分表(八訂)を用いた。現地調査はプノンペン(都市部)およびカンポット(農村部)の主要な市場にて2食分を購入して分析を行った。

【結果・考察】レシピから算出した栄養価に比べて調理後の食品重量から推定した栄養価はエネルギー、たんぱく質、脂質、食塩相当量を過小評価、カルシウムを過大評価されていた。鶏肉から溶出した油脂、調味料類を分離、重量測定することが困難であること、干しエビの戻し倍率が標準よりも大きかったことが要因であると考えられる。現地調査では2カ所のボボーに使われている食材や栄養価に大きな差が見られず、内臓や血液などの臓物類を使用していることが明らかになった。

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