主催: 一般社団法人日本調理科学会
会議名: 2025年度大会(一社)日本調理科学会
回次: 36
開催地: 東海学園大学
開催日: 2025/08/30 - 2025/08/31
【目的】いりこ等を粉末化した「魚粉」は魚丸ごとの栄養成分を摂取でき、形態も粉末であることから様々な料理に応用しやすく保存性も高い。そこで本研究では、魚粉を食パンに添加した魚粉パンを作成し、どのような嗜好性を保持しているか検討することを目的として実験を行った。あわせて、魚粉添加したパンに柑橘を混合することで、魚粉添加により発生することが考えられる魚臭の抑制ができるか検証した。
【方法】魚粉を添加しないパンを基準とし(以下F0%)、これに魚粉を粉重量で5%(以下、F5%)、10%(以下、F10%)となるように混合した。また、八朔の皮を乾燥させ粉末化した八朔粉と甘夏ピールを、F5%には八朔粉2%と甘夏ピール10%を(以下KF5%)、F10%には八朔粉2%と甘夏ピール15%(以下KF10%)を添加した。試料はホームベーカリーで作製し一晩寝かせた後用いた。測定項目は水分含有率、比容積、色度及び明度測定、テクスチャー測定、味認識装置による測定、官能評価とした。
【結果】比容積は魚粉の添加割合が高くなるほど低下した。色度及び明度測定では、F5%やF10%ではL*値が低下し、KF5%、KF10%ではb*が上昇する傾向が見られた。パンのかたさは魚粉添加割合が高くなると高値になる傾向があったが、甘夏ピールと八朔粉を添加するとかたさの値が抑えられた。味認識装置による測定では、魚粉を添加することで旨味、旨味コクが高くなり、塩味は低くなる傾向が見られた。官能評価では、魚粉の添加割合が高いほど味は好まれなかったが、KF10%はF10%よりも好まれる傾向を示した。