主催: 一般社団法人日本調理科学会
会議名: 2025年度大会(一社)日本調理科学会
回次: 36
開催地: 東海学園大学
開催日: 2025/08/30 - 2025/08/31
【目的】人は料理のできあがりを調理過程中の料理の様子から判断する。これまで「揚げる」において、天ぷらを例に澱粉性食品のさつまいもと蛋白質性食品のえびを用い、調理中の様子(視覚情報)からできあがりが推定できることを報告している。本研究では水分の多い食品である野菜について視覚情報から天ぷらの品質が推定できるか検討した。
【方法】野菜はアスパラガス(種)を用いた。種に衣をつけ、170℃の油で180秒揚げ、30秒毎の油面の視覚情報と天ぷらの品質を確認した。視覚情報は撮影した油面の画像を2値化処理し、白色の画素数を求めた。合わせて水分蒸発量を測定した。種と衣の水分挙動は衣の水を重水(H218O)に置き換えて調理し、種と衣それぞれのH216OとH218OをGCMSで測定した。天ぷらの品質は種は硬さ(クリープメーター)、水分量(常圧乾燥法)、SEM像、衣は水分量、破断強度(クリープメーター)、総合評価として官能評価(順位法)を用いた。
【結果】白色の画素数は揚げ時間に伴い大きくなり、60秒をピークに減少し、90秒以降の変化はなかった。水分蒸発量も同様の結果となり、白色の画素数から水分蒸発量の推定が可能であった。投入後に主として衣から水分が蒸発し、衣の水分の一部はアスパラガスへ移動し保持された。アスパラガスの水分は投入後に衣へ移動し、その後蒸発した。水分蒸発量が少なくなった揚げ時間90秒で、衣は硬く、好ましいサクサク感となり、アスパラガスは好ましい硬さとなったことから、水分の多い食品においても視覚情報から天ぷらの品質が推定できると考えられた。